『抱かれる』ということ。


「……は、あ…っ」

 僕の息が上がっていく。

 ちょっとやそっとでは音を上げないはずの僕の呼吸が、悟の優しい手一つで簡単に乱される。

 そして芯から熱くなり始める身体。

 しっとりと触れあう悟の肌も熱を帯び始め、僕はそれを直接感じ取ってまたさらに熱くなる。

 僕の身体すべて、余すところなく悟の愛撫に覆われて、溶けてしまいそう……。


「さと、る…っ」

 僕を追い上げる熱さに負けて、大切な人の名前が無意識に喉から転がりでてしまった瞬間、僕はまた、全身を強く抱きしめられる。

「あおい…」

 応えてくれる、これ以上ないほど優しい声がほんの少し掠れていて、僕はその声だけで背中に電気を通されてしまったように震えてしまう。

 そして…。

「…んっ、あ…」

 …熱い…さとる…、熱いよ……。

 何度経験しても、この瞬間だけは、すべてが壊されてしまうような圧迫感が僕の芯を貫く。


『ごめんね』


 …え?

 身体を反らし、シーツを握りしめた僕の、頭の奥の方に、そんな言葉が落ちた。

 僕は慌てて悟の瞳を探すのだけれど…。

 静かに、優しく、焦れったいほど慎重に僕の中に満ちてくる悟を感じて、僕はもう、何も考えられなくなっていく……。

悟バージョン:『抱く』ということ。…も読んでくれた?