〜新婚さん、体力勝負の夏祭り〜 





 家へ帰り着いた俺は、いきなり抱き上げられてバスルームへ連れ込まれた。

「暴れて汗かいたろ?」
「うん…」

 帯を解き始めた智の手にも、俺は逆らわずにジッとしている。

「お姉さま…」

 いきなり俺の耳に智が囁いた。

「ぎょぇぇぇぇ!!」

 ななな、何を言いだすんだっ、こいつはっ!

「直ってば、女の子にもモテるんだから…」

 クスクス笑う智。
 くっそ〜。

「バカにしてんだろ」
「誰が?」
「智が!」
「俺が?誰を?」
「智が俺のことをっ!」
「へ〜、そんなこと言うんだ」

 え? 智、目が据わった…。

「俺がこんなに嫉妬してるのに、直はそんな風に思うわけだ」

 嫉妬…?

「誰が?」
「俺が」
「智が誰に嫉妬してるってんだよ」
「俺が、あの女の子たちに」

 どーしてそうなるわけ?

「俺、あの子たちになんにもしてないじゃん」

 第一、悔しいかな、彼女たちは俺を女だと思ったままで…。

「俺の直の傍に寄ろうってだけで許せないんだ」

 はぁぁぁ?そんなご無体な。そりゃ、確かに彼女たちはコワかったけど…。

「さて、俺の愛情を確認してもらうためにも、今夜は朝までがんばろうな」

 ひ…。まじ…?

 明日から夏休みだし…と、呟きながら、智は嬉々として俺の浴衣を剥いでいく。

「神社の境内ではやりそこねたけどな〜」

 そ、そうだった!
 俺はあのちんぴらのおかげで、外で襲われるのを回避できたんだった…。

「こ、このエロバカタヌキおやじ!」

 思わず俺の口をついて出た言葉に…、智はピクッと反応した。

おやじと一緒にするなよ…

 う、うわ…。
 俺ってもしかして、地雷を踏んだ…?




「ほら、なお…まだ寝ちゃダメだって」

 ダメだ〜、もう寝かせろ〜。

「言うこと聞かない子は、こうだっ」
「あっ…ん」

 東の空が白んできたようだけど、俺にはそれが、黄色く見えた…。


      
END

バカップルのどうしようもない夏の夜でした(笑)
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