まりちゃんの入学式の夜は長い(笑)

まりちゃん、入学式の夜、その後…



「と、とも…っ、待って…」
 
 手短かに…と宣言したからにはさっさと事を運ばなきゃいけないと思った俺は、性急に直の身体を探り始める。

「やだ、待たない」

 そう言いきると、直が僅かに不安そうな顔をする。

「おま…え、普段…聞き分けの言い、イイコちゃんのクセに…っ」

 内股をサワッと撫でただけで、直の言葉は簡単に途切れてしまう。

 俺が聞き分けのいいイイコなのは、表向き…だよ、直。
 これからも、こと、直に関しては、イイコでばかりはいられないからな、俺も。

「直のせいだからね」
「な、んで…おれ…ひゃぁ…」
「なお〜、色気のない声出して」

 ちょっと首筋を舐めただけなのに、直の口から漏れた、色気はないけど可愛い声に、俺は思わず笑ってしまう。
 そして、直を覆う真っ白な布の裾から手を差し入れると…。

「と、ともっ、おまえ…っ」
「なに?」
「この、まえも…んんっ」

 この前?

「ああ、もしかしてメイド服のこと?」

 そう言えば、先月もメイド服のまま直をベッドに連れ込んで、こんな風に裾をめくったっけ…。

「おまえっ…、小さい頃、スカートめくり、しなかったんだろっ」

 手を止めた俺に、直はもうすでに潤んだ瞳でそう言ってきた。

 スカートめくりねぇ…。

「そういえば、したことないな」
「やっぱり!」
「何が?」
「その反動だっ!このっ、むっつりスケベっ!」
「…・ふうん…。じゃあ、直はあるんだ。女の子のスカートめくったこと」
「う」

 目を細めて見つめると、直は途端に怯えた表情になった。

「お、俺もない…けど…」
「じゃあ、お互い様だね。直もむっつりスケベだ。だって、ほら…」
「…う、あっ」

 ギュッと握り込んだ直自身は、もうすでに兆しを見せていて…。

「こっちの方がよっぽど素直だな」
「智っ、おまえ…っ…・や…っ」

 緩く手を動かすだけで、直は背を反らせる。

「…確かに、反動かもね…」
 
 追いつめる手をやめずに、俺は直の耳に囁く。

「と・も…・?」
「ずっとずっと、我慢してきたから」

 直が快感に目尻を染めて、俺を見返す。

「教室でも、部活でも、遊びに行っても、二人っきりだった修学旅行の夜も…」

 染まった目尻から、ポロッと一つ、涙が落ちた。

「ずっと、我慢してた…」 

 唇でそっと涙を拭う。
 そして、そのまま頬を滑らせ、柔らかい耳朶を加えて、『ちゅくっ』とわざと大きな音を立てて吸い上げる。

 とたんに直がビクッと震えた。

「あ、っ」

「なお…いい声…」

 舐めながら喋ると、直は必死になって身を捩ろうとする。

 俺はそれを逃がさないようにがっちりと抱え込んで、唇を塞ぐ。

 そして、その間に白い布のボタンを全部外すと、直のきめ細かくて柔らかい肌が現れる。
 それはまるで、上等の布に包まれた贈り物のようで…。

「綺麗だね、なお。やっぱり何も着てない時が一番綺麗だ…」

「ば、か…恥ずかしいこと、いう、な…・」

 切れ切れにでも抗議してくる直が、いっそう愛しくて…。 

 そんな直の首に舌の先を這わせて、そこから胸へと伝っていく。
 
 直の身体の熱は、もう限界に近そうだ…。

「とも…」

「なに?なお」

「も…う」

「もう?」

 どうして欲しい?なお…。

 直は俺に涙のにじんだ目を向けてから、頭を左右に振った。

「も、我慢、できな…い」

 なお…。

「とも…ぉ…、たすけ…て」

 ……。

 その、信じられないくらい甘い声に、そこまでの俺の余裕はあっさりと消え果てた…。

 きっと俺は、顔色さえ変えてしまったんじゃないだろうか。

「なおっ」

 俺はいきなり直の足を抱え上げた。
 まだちゃんと慣らしていないからダメだと理性は忠告したのに、俺の身体はあっさりとそれを振り切ってしまい…。

「んっ……・ぁ、ぁ…・あぁっ、や、やぁ…・っ!」
 
 直の小さな悲鳴が上がった。 

「なお…なお…」
 
『ごめん』と謝る余裕もなく、 せっぱ詰まった声で直の名を何度も呼びながら、俺はいつもに増した余裕の無さで動きを激しくしていく。

 やがて、耳元でサラッと衣擦れの音がして、フワッと広がる真っ白なフリルの袖…。

 直がしっかりと俺の頭を抱え込む。

 その仕種に、俺はさらに余裕をなくし、直の意識はそこで途切れた…・。


☆.。.:*・゜


「なお、ご飯出来てるよ…」

 緩く揺すられて俺はぼんやりと目を開けた。

「起きられる?」

 起きられねぇ…。

 俺は黙って智に向かって手を伸ばす。

 昨夜、智の頭を掻き抱いてしまった真っ白なフリルの袖…。

 智は優しく微笑んで、俺の身体を抱きかかえる。
 
 膝の上に横抱きにされて、フワッと揺れる真っ白な布。

「ごめんな…。痛いだろ…?」

 心底申し訳なさそうに言う智に、俺は思わず笑ってしまう。

「なお…」

 智の困った顔って久しぶりかも。

「ん…、確かにかなり痛いけど…」

 そう言うと、智は泣きそうな顔になった。

「なんて顔してるんだよ、智。俺はこれからずっと智の側にいるんだからさ、もう、我慢することなんてないし…」
「直……」
「何しても、いいから…」

 そういうと、智は俺をギュッと抱きしめた。

 その温もりが嬉しくて、俺はまたそっと目を閉じる。



 そしてこの日、俺たちが大学に遅刻しなかったのは、まさに奇跡と言えるだろう。

 ただ俺はずっと座ったままで、必要な手続きはぜ〜んぶ智にさせたんだけど。

 ま、当たり前だよなv

END

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