笠永くんの『ガイドはつらいよ』





 僕は、笠永行範。
 20才、大学2年の学生ガイド。

 京都市内の観光地で、ボランティアでガイドをやってるんだ。
 けど、このガイドって、結構キツイ。
 何がって?
 とんでもない観光客がいるからだ。



 昨日も僕は、市内の超有名なお寺でガイドをしていた。
 ここの書院の襖絵は…。

 あーーーーーーー!こらっ、そこのじーさんっ!襖絵に触るんじゃないっ!
 それは重要文化財だぁぁぁぁぁ!

 ぜーぜーぜー。
 まったく何考えてやがるんだ。金箔でも剥がすつもりだったんだろう。


 さて、次は庭の案内だ。
 何処の寺でもたいてい『砂庭』があるが、ここのは特に立派で、寺の人たちが毎朝何時間もかけてきちんと整えているのを、僕は知っている。
 周りにはきちんとロープが引かれていて、そばには寄れないように…。

 あーーーーーーー!そこの幼稚園児!ロープくぐるんじゃないっ!
 母親はどこだっ!

「あら、まーくん、いいお砂場見つけたのねえ」
  
 砂場じゃないーーーーーーー!!!

 ぜーぜーぜー。
 まったく最近の若い親は、躾どころか自分の常識もない…。

 破壊された砂庭に、お寺の人がやって来て修繕を始める。


 さて、気を取り直して、次は、この見事な苔庭についての解説を…。

 あーーーーーーーーーーーーー!!
 苔の上に乗っかって写真撮ってんじゃないーーーーーーーーーーー!!

 ああ、こ、苔に足跡がぁぁぁぁあ…。
 これ、何年かかって生えたと思ってんだよぉぉ。
 

 そしてどっと疲れた僕が、休憩時間中に見た物は…。

 本堂の影で『ちゅう』をしている『修学旅行生(学ラン同士)』の姿だった…。


 ああ…ちさとさんに会いたい…。


END

この日記の内容はすべて「事実」です(笑)


2001年4月18日桃の国日記に掲載

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