幕間 「羽化、するとき」

【3】





 合宿3日目の午後。

 渉が生徒指揮者になって初めて、メインメンバーの前に立つ時がやってきた。

 去年の定演前にも何回か指揮台にあがっているが、その時のメインメンバーも、卒業したもの以外はほとんど残っていて、入れ替わりで入ってきた新メンバーも、ほとんどが中等部で渉の指揮を経験しているため、初めて指揮台の渉を見るというメンバーは皆無という状態だ。

 だから、取り立ててどうということもないはず…だったのだが。


「今日から6月半ばまで、浅井先生の下振りをさせてもらうことになりました。よろしくお願いします」

 静かではあるが、今までの渉とは少し違う、引っ込み思案な部分が少し見えなくなったような落ち着いた挨拶に、すでにときめいている者、数名。

 そしてメインメンバー全員が起立して『よろしくお願いします』と元気に挨拶を返して合奏が始まったのだが、『仕方なく乗せられていた』去年と違って、生徒指揮者として自分の意志で指揮台に上がった渉の指揮に、ときめきはじめた者、多数。

 それほどまでに、渉は違っていた。

 話す声はいつもと変わらず、大きくはない。
 だが、指摘や指導にまったく迷いがない。

 指揮法もすでにマスターしたのか、顧問と同じように、明瞭で見やすい振り方は合奏にストレスを与えない。

 何よりも、小さくて可愛いはずの渉が、大きく見えたのだ。

 メインメンバーの衝撃は大きかった。

 特に…。


 ――嘘だろ…。誰、これ。このカッコいいカワイコちゃんは…。

 集中して弾いているつもりでも、すぐ目の前に立つ渉の予想外の変容に動悸が収まらない桂は、音をいくつか引き飛ばしてしまった。

 それは、普段ならなんなく誤魔化せる範囲内だったのに、慌てた所為でボウイングが逆になるという、コンサートマスターにあるまじき大失態を犯し、後ろの奏者の混乱を招き、当然合奏が止まった。


「コンサートマスター?」

 何があったの…と、渉とは思えない 少し大人びて落ち着いた声で、しかも初めてコンサートマスターと呼びかけられ、動揺のあまり桂は弓を落としてしまった。

 カツン…と乾いた音がステージに反響する。

 その瞬間、パチッと目を見開いた渉が、びっくりした様子で指揮台を降りた。

「桂、大丈夫?」

 いつもの渉のいつもの可愛い物言いが、『可愛い恋人の素顔』そのもので、弓を拾って差し出されたその時。

「…うっ」

 口と鼻を手で覆った桂の隣で、次席の3年生の慌てた声が響く。

「栗山!」
「桂!」

 辺りが騒然となる。

「大丈夫かっ」
「おいっ、保健室へ!」

 しかし、辺りが騒然となる中で、やけに冷静な2人がいた。

 そう、舞台のど真ん中。
 管楽器の最前列中央に隣同士で陣取っている、フルートの首席とオーボエの首席だ。

「鼻血って……桂…カッコ悪すぎ…」

 和真が呟くと、直也がいやいやと首を振る。

「桂の気持ちは痛いほどわかる。 ってか、至近距離であの渉を見て、よく我慢したって。僕だったら間違いなく押し倒してるな」

 しれっと呟き返す直也を和真が呆れ果てた目で見返し、『ケダモノっ』と直也に向けて小さく吐くと、反対の隣で『ぷっ』と吹き出す音がした。

 和真の左隣はオーボエの次席――部長である理玖の席だ。

「あ、聞こえてました?」
「ちょっとね」

 クスクスと笑う様子も美しい部長は、その笑顔のままで桂の方へ視線を遣る。

「いや、栗山の様子は心配なんだけど、そういう事情ならまあ、仕方ないかって」

 少し離れた席の鼻血騒ぎは、桂が『大丈夫だから』と制して、簡単な手当で収まる気配を見せている。

 これが、倒れでもしたのなら、部長としてはすっ飛んで行かなければならないところだろうが。

「もしかして安藤って、意外と口悪い?」
「滅相もないですよ。これはNKコンビ限定ですから」

 どんなときも、「切れ者」は冷静沈着丁寧でなければならないのだ。

「そういえば、栗山も麻生もここのところご機嫌だね」
「わかります?」
「まあね。それに渉も元気になってきたみたいだし」
「理玖先輩、鋭いですね…」
「そりゃあ、部長ですから」

 言って、自分より低い位置にある和真の頭をくちゃっと混ぜる。

「やだ〜先輩〜、セットが乱れる〜」

 入学してからずっと可愛がってくれた先輩だけれど、今年になってから、こんな『触れ合い』が増えた気がする。

 ――理玖先輩、なんかあったのかな…。

「いいじゃない。クリクリ頭で可愛いよ」

 言いながらも今度はかき混ぜた髪を直すように優しく梳いてくる。

 その手の優しさは決して不快なものではなく、それどころかちょっと気持ちよかったりして、和真もされるがままになっていたのだが。


 ――英…?

 何故か、遠く弦楽器の最前列にいる英と目が合った。

 自分には今まで向けられたことのない、少し鋭くて、でもどこか縋るようにもみえる不思議な視線に、和真は少なからず戸惑う。

 桂の騒ぎは収まり、渉も、駆け寄っていた弦楽器のメンバーも、自分の場所に戻り始めた。


「オーボエ、もう一度『A』下さい」

 渉がチューニングのやり直しを促す声に、一斉に私語が消える。

 目の前のチューニングメーターと、離れたところにいる桂の両方を視界の中に確認しながら、まっすぐの『A』を紡ぐ頃には、和真はすでに演奏へと頭を切り換えていた。 

 不思議な『触れ合い』も謎の『視線』も、特に深く考えることもなく。



                   ☆ .。.:*・゜



「今まで15年ちょっと生きてきて、一番驚いた」

 消灯点呼まであと1時間となった音楽準備室で、勝手に珈琲を入れて寛いでいる者、約1名。

 祐介にため口で話をする生徒は、1125名中ただ1人。

 英だ。


「そんなに凄かったか?」

 提出された今日一日の活動記録に目を通しながら、祐介が楽しげに聞き返す。

「メインメンバー全員、騒然って感じだった。栗山先輩なんか、動揺のあまり弓落とした挙げ句に鼻血吹いたし」

 祐介が目を丸くした。

「そんなことがあったのか」

 部長から連絡がなかったところを見ると、大したことはなかったのだろうと思うのだが。

 祐介の言葉に頷き、はあっと大げさに息をついて、英が吐露する。

「チビの頃から、渉は次元が違うって思てたんだ。けど、まさか『これ』だったとは思わなかった」

 よもや、あの性格で指揮者が務まるとは思っていなかった…とは、英だけの感想ではないだろう。

「楽器と違って、豹変なんてレベルじゃなかっただろう?」

「ああ、なんか不思議な感じだった。渉なのに渉でなくて、でも、確かに渉なんだ」

 英の複雑な感想が、今日の驚きを率直に現している気がして、祐介の表情が緩む。

「なんて言うんだろ…。サナギが蝶になった…って感じかな」

 おそらく、今まで誰よりも渉の心に近かったであろう英が、渉の変容を『羽化』と捉えているのはまさに、渉の心がガラスではなくて、柔らかい羽だったことを示しているのではないか。

 祐介は、渉がついに、その羽を広げようとしているのだと改めて感じ、これからのさらなる変容が楽しみで仕方がない。


「で、指揮そのものはどうだった?」

 6月半ばまでは渉に『任せた』のだから、わざわざ覗きにいくつもりはない。
 予定通りしばらくは中等部の強化に専念させてもらうつもりだ。

「祐介の下振りとしては今のところ満点じゃないか? でも、いずれ何かで本振りさせるつもりなんだろ?」

「当然」 

 祐介の即答に、『だよな』と呟いて、英はしばらく何かに考えをめぐらせていたようなのだが…。

「なあ、祐介はいつ気がついたんだ?」

 誰も気がつかなかった、渉の隠れた姿を。

「去年の11月頃…だな。ちょうどアニーが来ていた日で、僕が合奏に遅れることになったから、ソリストの渉が指揮台に上がらされてしまったんだ。それがきっかけだな」

「ってことは、アニーも知ってる?」
「もちろん」
「なんて?」
「大変な場面に出くわしたな…ってさ」

 しばし英が考え込む。

「悟も知ってるんだよな?」

「ああ、ホールの2階で聞いてもらった。渉には内緒でな」
「悟はなんて?」

「渉にデビューされたら、自分の仕事が減るんじゃないかって、危機感煽るレベルだって」

「……マジかよ」

 ソファーの背もたれにどさりと身体を預け、大きな息を吐く。

「赤坂先生にも話は伝わってるんだけどな。下振りが終わる頃に見に来てみたいって話だった」

「ああ、それ余裕こいてる風に見えるけど、いざ目にしたらきっとメロメロだと思う。『うちのわたちゃんは天才だから』ってあっちこっちで臆面もなく言う人だからな」

 英の言葉に祐介が『あちゃー』と頭を抱えた。

「なんだよ…」

 祐介の反応を訝しんだ英だったが…。

「あ、もしかして浅井のグランパも」

「ああ、まったく同じこと言ってるぞ。『うちのわたちゃんは天才だから』ってさ」

「ったく、どっちもこっちも爺バカだけど、強ち嘘でもないところがコワイよな。俺、去年渉がコンチェルトやった録画みたけどさ、ほんと、なんなんだこいつは…って感じだった。 よりによって、そんなに得意でもないチェロであれだからな」

 言葉は若干乱暴だが、そこに鬱屈したものはまるでなく、純粋に兄の能力に心酔している様子すら見て取れて、祐介は改めてこの兄弟の魂の近さを感じとる。

 同時に、よく手放したものだ…とも。

 相手がどっちなのかは未だに見定められていないが。


「けどさ、俺、正直言って、祐介も凄いと思った」

 唐突に言って、真っ直ぐに見つめてくる瞳はやはり悟によく似ている。
 恋敵であった時ですら、自分の能力を正しく認めてくれた『先輩』に。


「どうして?」

「周りの大人はみんな、渉を持て余してた。だから、ここへ来たからって何が変わるもんでもないし…って思ってたんだ」

「それは、僕だけがちょうど良い感じに離れてたからじゃないか?」

 それは謙遜でもなんでもなく、正直に思うところだ。
 ただ、全力は尽くした。それだけは胸を張れる。

「それだけじゃないと思う。あの渉をあそこまで持ってきて、しかもオケと共演させてあの結果出して、その上に今回の生徒指揮者…ってさ。マジな話、ここで、祐介のところで音楽できる生徒って幸せだと思った」

 言い切って、英はひとりで納得している。

「あのな、英」
「なに」
「ちょっと照れるんだけどな」

 こうまで正面切って言われると、大人の仮面もくすぐったいばかりだ。

「しかたないだろ、俺、チビの頃からこんな質だしさ。遠回しとかヤダし」

 全くその通りだ…と、遠回しになるばかりの大人は反省しきり…だ。

「じゃあ、とりあえず有り難く受け取って、明日からも精進するよ」
「とりあえずって、なんだよ。これだから大人はさー」

 もうちょっと子供の頃の純粋さを思い出した方がいいんじゃないの、とかなんとか、文句にもならないことをブツブツと垂れはじめたのだが、ふいに、黙った。

 そして。

「なんかさ…、教えるって、重いけど面白いよな…」

 独り言のように呟いた英を、祐介は頼もしげに見つめる。

 渉がまとめたチェロパートを、英はさらなる高みへ引っ張りつつある。

 弦楽器の生徒たちが言うには、英の指導力はかなりのもので、桂も『英がみてくれるから、低弦は心配いらない』と言っているらしい。

 今までソロのレッスンしかしてこなかった英。
 今まで可愛い兄貴にかかりきりだった英。

 ――お前がこの3年間でどう化けるかも、楽しみなんだけどな…。

 英にわからないように、祐介は小さく笑った。



                    ☆★☆



『地獄の』とも形容される黄金週間強化合宿が終わり、前期中間試験までの間に行われる全校行事と言えば、球技大会だ。

 バスケ・卓球・サッカーの三種目なんだけど、管弦楽部員は毎度の事で、突き指が懸念されるバスケは御法度。

 となると卓球とサッカーしかないわけで、走るの苦手な僕としては、毎年卓球しか選択の余地がない。

 これはもう、中1のときからずっと。

 直也と桂はスポーツも万能だから、毎年サッカーにエントリーして走り回ってる。

 ヤツらがフィールドに現れると、もう、ギャラリーがわーわーきゃーきゃーやかましいったら。

 ここは女子校か!…って言いたくなるくらい。

 今日は終礼の時間が延長されてて、その球技大会のエントリーの調整が行われてる。

 希望がどうしても偏ったりするので、その調整なんだ。


「渉、そういえば今年初参加なんだ」
「うん、去年は退院したばっかりだったし」

 去年、渉は見学だった。

「で、当然…」
「卓球に決まってるよ、もう」
「だよねー」

 とりあえず、参加することに意義があるってことで、首尾良く1回戦敗退となれば、あとは他の試合を無責任に楽しむだけ。

「そうだ。渉、ダブルス組む?」
「あ、それいいかも」

 僕と渉じゃ、間違いなく1回戦で負けられそうだし。

「直也と桂は去年、サッカーだったよね」
「うん、あいつらは体力余ってるから、どうせ今年もサッカーだって」
「今年も優勝かな?」
「さあ、どうかなあ。運動部が結託して『打倒!NK!』だとか言ってるって噂もあるし」

 ま、直也も桂もたいして勝利への執念はないんだな。毎年。
 とりあえず楽しかったらいいって感じだし。

 って、そういえば…。

「英ってさ、運動得意そうだねえ」

 聞けば渉がうんと頷く。

「結構万能…かなあ。短距離も長距離もタイム良いし。ただ、球技って普段やってないからどうかなあ。多分サッカーに行くんじゃないかな」

 やっぱりね。なんかそんな気がした。

「和真はスポーツってなんかするの?」

「ううん。身体を動かすのは嫌いじゃないけど、スポーツと言われたらあんまり。特にこんな、野獣ばっかりのところで真面目にやったってさ、絶対力負けするんだから」

「野獣って…」

 渉が吹き出した。

「あ、でもここへ来るまではテニスやってた」

 なにせうちの翼っちはテニス部の顧問だったくらいで、一応教えてもらって、それなりに楽しくやってはいたけど。

「わあ、かっこいい」

 渉が目をキラキラさせた。うーん、やっぱり可愛いなあ…。

 こんな可愛い渉をNKの魔の手にかけていいんだろうか…。
 ううっ、良心が痛む…。


「って、そういう渉は? なんかやってた?」

 多分何にもやってないだろうと思った…のに。

「僕、スノボは好きだけど」
「えっ」

 まさかウィンタースポーツとは。しかもスノボ。

「意外な感じ」

 正直な感想を言っちゃったけど、渉は気にするでもない風で。

「そうかなあ。でもドイツは寒くて雪も多いし、スキーとかスノボ、盛んだし」

 そうか、ドイツって寒いんだ。

「和真もドイツに行けば楽しめるよ。一緒に行こ?」

 にこっと笑った顔がとんでもなく可愛くて、元気よく『うん!』って返事したくなっちゃうんだけど、つい、『そだね』…なんてちょっと気のない返事になっちゃったり…。

 ドイツか…。
 行きたい気持ちは大きいんだけど、すんなりとはいかないだろうなあ…。



                    ☆★☆



「そこのNK」

 尊大な態度で声掛けしても、NKコンビは僕には楯突いてこない。

 誰のおかげで渉と相思相愛になれたのか、よくわかってるらしくて結構なことだけど。

「2人とも今年は卓球って聞いたんだけど、ほんと?」
「ああ、ほんとほんと」
「今年は個人戦にかけてるんだ」

 そうか、個人戦があるの、卓球だけだからな。

「なんでまた個人戦?」

 訳でもあるのかと思ったら。

「そりゃもう、真っ向勝負しかないってことで、な、桂」
「そう、男ならこの手で勝利をもぎ取れって話だ、な、直也」

 ふ〜ん、なるほどね。

「なんか賭けてるんだ」

 大方、渉に関する何か…だろう。

「相変わらず察しが良いな、和真」

 あのさあ、桂…。

「ってか、わかりすぎだろって話だろ?」
「そうかな?」

 直也までボケてんじゃないの。

「そうだよ。…で、何賭けてんの?」

 どうせロクでもないことだろうと思ってたら。

「「初ちゅー」」
「へ?」

 なんか、2人揃ってマヌケな発音で、よくわからなかったんだけど。

「だから、ファーストキスだって」
「そ、どっちが先かってことで」

 え〜?

「あのさ」
「うん?」
「なに?」
「まだ…、だったの?」

 まさか…ってニュアンスを思いっきりぶち込んで聞いてみれば、案の定2人はがっくり脱力した。

「なんかさあ…」
「あんまり渉が無邪気に懐いてくれるもんだから…」
「ついつい、ここまで引っ張っちゃったわけ」

 直也と桂の話によると、なかなかそう言う雰囲気に持ち込めなくて、でも、もういい加減我慢も限界ってことで、球技大会の勝負にかこつけて、勢いつけちゃえってことらしい。

 ったく、純情って言うか、単純って言うか、バカって言うか。

「…ま、とりあえずがんばれば?」
「やだ、和真くんってば冷たい」
「もうちょっと慰めてくれてもいいじゃん〜」

 渉、ほんとにこんなヤツらで、いいの?




 で。結局どうなったかって言うと。

 色恋沙汰にマジでとち狂ってる男ってのはコワイもんで、直也と桂は本当に勝ち上がって決勝で当たった。

 自分が賭の対象になってるなんて、夢にも思ってない渉は、無邪気に『直也も桂も凄いねー』…なんて、喜んでたりして。

 渉…君は今夜、奪われるかもしれないってのに…。

 そう思うとなんだか渉が可哀相で、やっぱりいっそのこと、ここで僕がお先に…なんて、またチラッと思っちゃったんだけど、英がコワイんでヤメ。


 
「残念だったね、直也」

 結局、桂が勝った。

 そりゃもう、最後の最後までもつれる激戦で、ギャラリーを不要に喜ばせてたけど。

「ん〜、まあね」

 って、そんなに残念そうじゃないって、なんで?
 チラッと桂を見れば、小さく肩をすくめてみせる。

「勝った方はファーストバードキスなんだ」
「あ、そうなんだ」
「で、負けた方は、ファーストディープキス」

 ……。

「ま、とりあえずどっちに転んでも美味しいようにはしとかないとな」
「おうっ」

 も、こいつらとはつき合いきれん…。

「ところでさ、お2人さん」
「なに?」
「なんだよ」

「渉の得意なスポーツ知ってる?」
「えっ?」
「そんなのあるのか?」

「…それって微妙に失礼じゃない?」

 今度告げ口してやる。

「ま、時間はたっぷりあるから、焦らずに渉を知りたまえ、キミたち」


 ちなみに渉と僕の、『他称:学院一のカワイコちゃんダブルス』は、どういうわけか相手がみんな手加減してくれちゃって、不本意ながら3位までいってしまった。

 1回戦で終わらせて、あとは遊んでるつもりだったのに。

 渉がボソッと、『こんなはずじゃ…』と呟いた。


END

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