君の愛を奏でて 3

「恋に落ちたら、やっぱこれでしょう」


ぬる〜いR-18ですm(__)m





「んっとに、でっかいくせに」
「…ん…まだ15歳のオコサマだからさぁ…」

 と言いつつ、その手は何だと、今度こそ声にして突っ込んでやろうと思ったら…。

「やぁっ…ん」

 いきなり素肌の胸をなで上げられて、出てしまった声は、ツッコミどころではなくて、裸足で逃げ出したくなるような、甘ったるい嬌声で。

 今度は『誰の声だよ、もう』なんて、頭の中では言っているのだが、言葉にはならない。

 今の一発だけで、余計な事を言おうとすると、墓穴を掘る…と、賢い和真は学んでしまったのだ。

 そして、ここにひとり、想像以上の声を聞かされて、一気に火が付いた、『今だけ自称:15歳のオコサマ』が。


「ごめん、ちょっと我慢きかないかも…っ」

 噛みつくようなキスを受けて、ちょっと待ったと思う間もなくパジャマその他がポイポイと剥ぎ取られ、その唇が胸に降りてくる頃にはもう、和真も無駄な抵抗はやめていた。

 止めようとしても英は止めないだろうし、きっと自分も、本気で止めようとは思っていないから。


 ――でも、ちょっと、なんか…。

 女の子じゃあるまいし、胸なんか触られても…なんて思ったのは大間違いだった。

 こんな場所でも身体に火がつくなんて思ってもいなくて、今からこれで、この先どうなってしまうんだろうと、不安になる。

 英は『転がってるだけでいい』なんて言うけれど。

 …なんて、ウロウロと考えを巡らせているうちに、英の大きな手のひらに大切な部分を握りこまれて、自分がすでにしっかり反応していたことに気がついて、なんだかいたたまれない。

 英は嬉しそうだけれど。


 もうこうなったら、腹を括って英に全てを委ねるしかない…と、決意したのだが。

『ちょっと我慢して』と言われて、何のことかと思ったら、英の手には何やらチューブのようなものがあって、キャップを外すと妙に優しい香りのとろりとした物質が。

 いくら未経験とは言え、和真も17歳の男子で、それなりの知識だけは嫌と言うほど持っている。

 だからコレが何の目的で使われる物かなんて、当然知っていて。

 しかも、よく見ればしっかりゴム製品まで準備万端。


「なんでそんなもの揃ってるわけ?!」

 まさか最初からそのつもりで…と、唖然としてみれば、英はしれっと言い返す。

「あ、これ、さっき栗山先輩と麻生先輩から『差し入れ』って渡されたんだ」
「はあっ?」
「『男なら全力で最後まで走り抜け!』って」

 ――あいつら〜!

「ま、こうなったら先輩方のご期待には応えないとな」

 絶対、演劇コンクールの仕返しに決まってると、拳を握りしめようとしたのだが。

「ふぁ…あんっ」

 あんた、誰…とツッコミたくなるような声を上げてしまい、拳を握りしめるどころではなく、のしかかる英の身体にしがみつくしかない。

 英の長い指が、ヤツらの差し入れのおかげでスルッと体の中に入ってきてしまったから。

「和真…かわいい…」

 そのほめ言葉はあんまり好きではないんだけど、と言いたい所だが、あからさまに広げる目的で指を動かされてしまっては、もうどうにも出来なくて、いっそのこと『さっさと来い』…なんて男前なことを口走りそうになる。

 けれど、口走ろうが口走るまいが、結局行き着く先はひとつだ。


「痛かったら、言って」

 少し固い声でそう言うと、中をかき回していた指が抜かれた。

 その刺激だけで危うく失墜しそうになるのを必死で耐えると、足を抱え上げられた。

 指なんかとは比べものにならないほどの重量感が押し当てられて、英がぐっと身体を倒してきた。

「…ん…っ、あ…やあ……っ」

 頭のてっぺんまで半分に裂かれるような圧迫感に、息が潰れそうになる。

「痛い?」

 不安そうな、英の声。

「苦しい? 止める?」

 ここまできて止めるなんて、それこそ英の方が辛くなるだろう…と、同性だからこそ、わかることもあって。

「…いい…だいじょ…ぶ」
「ほんと…に? 無理しなくていいんだよ」

 額に浮いた汗をそっと拭いながら、労るように撫でられる頬が気持ちいい。

 ――優しい…英。

「…ん、平気、だから…」
「和真…」
「その代わり…」
「その代わり?」
「好き…って、言って………あんっ」


 その一言が、英に与えてしまったインパクトは大きくて、ただでさえ狭い和真の身体の中で、欲望は更に膨れ上がる。

「好き、和真。大好き、愛してる」

 どれかひとつで十分なのに、そんなに大盤振る舞いされては、やっと落ち着いてきた心臓がまたバクバク言い出してしまう。

「ごめん、やっぱり我慢できない」

 言うなり、和真の身体をしっかりと抱えて英が動き始める。

 息までも、抜き差しされる動きのままに翻弄され、何もかもがままならない状態でも、和真は英を受け止めることが出来ることの幸福感に揺さぶられていた。

 ――英に会えて、良かった…。

 身体の中に、ぎゅっと何かが集まり始め、頭の中がジン…と痺れ、やがて全てが解放される。

「絶対、離さないから」

 霧散していく意識の中で、英の言葉が聞こえた。



                     ☆★☆



「なんか、渉ちょっとヨレヨレじゃない?」
「そう言う和真だって…」

 朝、英が戻ったのを確かめてから、渉が帰ってきた。

 英と和真もめでたく、なるようになった様子で、渉も嬉しくてしかたがない。

 だがそうなると、お互い昨夜何があったのか、嫌と言うほど我が身にも思い知っているだけに、妙に気恥ずかしいのも確かで。


「えっと、昨夜は3人…だったわけ?」
「あ、うん、まあ」

 昨夜自分に起こったあれやこれやを思い出すに、ひとりを受け止めるだけでも精一杯なのに、あれを一度に2人分なんて、考えただけでもオソロシイ。

「渉って、案外タフ…だよね」
「な、なにそれっ」
「ま、お互いにもうちょっと体力つけなきゃ…ね」
「あー、うん。そっかも…」
「取りあえず、寝よ」
「うん」

 こうして子猫ちゃんたちは夕方まで昏々と眠り続け、ケダモノ3人組は、ほんのちょっとだけ反省したのでありました。



おしまい


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